土木工事共通仕様書は、国や自治体が発注する公共工事において、施工者が遵守すべき基準や要項を定めた「ルールブック」です。土木工事の共通事項から個別に特化した専門的な内容まで幅広く規定されています。この仕様書を活用することで、工事関係者間の共通理解を深め、施工の品質を定水準に確保するとともに、トラブルや事故を未然に防ぐことを主な目的としています。ここでは、土木工事共通仕様書の目的、構成、具体的な活用方法を解説します。
この記事はこんな読者におすすめ
- 土木工事共通仕様書の目的が知りたい方
- 土木工事共通仕様書には何が書いてあるか知りたい方
- 土木工事共通仕様書の活用方法が知りたい方

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目次
1. 土木工事共通仕様書とは
土木工事共通仕様書とは、国や県、市町村などの自治体が発注する公共工事をおこなう際に、施工者が遵守すべき全国共通の技術基準や施工方法などの要項を定めたルールブックです。設計図書では表現できない、詳細な施工方法、材料などの品質管理、安全対策、環境への配慮などに関する事項が定められています。
土木工事共通仕様書の目的
土木工事共通仕様書の主な目的は以下の3つです。
関係者の共通理解の促進
共通の基準や規定に準じた契約書や設計図書を作成し、施工を進めることで、工事の関係者間の共通理解を深め、施工中の認識の齟齬を未然に防止します。
施工品質の確保
使用する材料の品質や施工に必要な技術的な項目が定められているため、どの現場でも、土木工事の品質が一定以上の水準を確保することができます
トラブルや事故の防止
作業の順序や具体的な施工方法が説明され、安全管理や環境保全などの関係法規が仕様書に明記されるため、工事が効率的に実施され安全性が確保されることで、工期の短縮やコストの削減にも繋がります。

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2. 土木工事共通仕様書の構成と概要
ここでは、土木工事共通仕様書の構成と概要を説明します。
土木工事共通仕様書の構成
土木工事共通仕様書には、第1編~第10編(第4編、第5編は欠番)があり、大きく分けて2つのセクションに分けられます。
すべての工事に共通する基本的なセクション:第1編~第3編
第1編~第3編には、すべての土木工事に共通する基本的な事項が定められています。あらゆる工事の土台となる、契約書や設計図書に関する取り決め、すべての工事に使用する材料の品質を確保するための基準、すべての工事に適用される施工管理と技術的な要求事項を規定しています。
特定の専門分野に特化したセクション:第6編~第10編
第6編~第10編には、河川、海岸、砂防、ダム、道路といった特定の専門分野に特化して、より詳しく具体的な工事の基準や技術的な要求事項を定めています。共通のルールを土台としながら、専門工事の特殊性に応じた詳しい要求事項を規定しています。個別の編において、特に定めのない事項については、第1編~第3編の共通的なルールを参照することとされています。
土木工事共通仕様書の概要
土木工事共通仕様書には、まず、各章に記載されている規定が、どのような工事の種類(工種)に適用されるのかが明記されています。それに続き、工種ごとに、詳細な施工方法や工事に使用する材料、品質基準などが網羅されています。各編の概要を説明します。
第1編 共通編
・ポイント
土木・空港・港湾などのすべての工事が、円滑かつ安全に進むための基本的なルールブックです。
・概要
総則として、契約書や設計図書に関係する言葉の定義、安全・環境管理、ICT活用、再生資源の利用などが規定されています。また、土工事および無筋・鉄筋コンクリート工事に共通の施工方法や品質管理が規定されています。
第2編 材料編
・ポイント
すべての工事に使用する材料の、品質や品質を証明するためのルールブックです。
・概要
規格、品質の検査などすべての材料の品質を保証するための共通のルールと、土木工事材料として材料個別のルールがそれぞれ定められています。
第3編 土木工事共通編
・ポイント 土木工事全般に共通する施工方法、管理事項に関するルールブックです。
・概要 総則として、費用に関する書類や、確認・立会、工事完成図書の納品といった施工管理全般の共通ルールと、一般的に使用される工種の施工方法や材料などについて工種ごとのルールが定められています。
第6編 河川編
・ポイント
河川特有の施設の安全性や機能を確保し、河川の環境を守るための専門的な施工ルールブックです。
・概要
堤防の建設や護岸などの河川工事に特有の工種ごとに、具体的な施工方法や技術的基準が詳細に定められています。
第7編 河川海岸編
・ポイント
河川と海岸の両方にまたがる複雑な環境において、安全かつ波に耐える構造物を築くための専門的な施工ルールブックです。
・概要
河川と海岸の両方にまたがる環境で、堤防の建設や護岸などの工事に特有の工種ごとに、具体的な施工方法や技術的基準が詳細に定められています。
第8編 砂防編
・ポイント
土砂災害から命と生活を守る防災構造物を施工するためのルールブックです。
・概要
土砂災害リスクの高い地形に対して、防災構造物を安全かつ効果的に施工するために、主要な防災工事の工種ごとに、具体的な施工方法、品質基準などのルールが定められています。
第9編 ダム編
・ポイント
ダム建設において、巨大な水圧に耐えられる丈夫な建物を、安全かつ高品質に建設するためのルールブックです。
・概要
コンクリートダムやフィルダムなどの主要なダム形式に対応し、ダム工事特有の複雑な環境や大規模な構造物に必要な工種について、施工方法や品質管理などのルールが定められています。
第10編 道路編
・ポイント
道路網の安全性や利便性を高める道路インフラの施工や維持のためのルールブックです。
・概要
道路の改良や舗装などの道路工事に関わる全ての工種について、工種ごとの施工方法や品質基準が定められています。

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3. 土木工事共通仕様書の活用方法
土木工事共通仕様書は、土木工事全般のルールブックとして、さまざまな場面で活用できます。土木工事のどのような場面で、土木工事共通仕様書を活用することができるのか、その活用方法を紹介します。
設計段階での活用
土木工事共通仕様書には、設計者が設計する際に従うべきルール、参照すべき技術基準や品質要求事項が網羅的に示されています。土木工事共通仕様書に準拠した設計図書を作成することで、後の施工段階での誤解を未然に防ぎ、設計と現場での施工の整合性が高まります。また、品質管理や安全管理、環境整備などにも配慮し、さまざまな施工段階に考慮した設計図書を作成することができます。
施工計画書作成の「手引き」として活用
土木工事共通仕様書には、施工計画書の提出期限、記載すべき事項、変更時の手続きなど作成に関する基本事項が定められています。そのため、土木工事共通仕様書は、施工計画書を作成するにあたり、「施工計画書」の形式や構成を整える際の手引きとして活用することができます。
施工計画書の「記載内容の根拠」として活用
土木工事共通仕様書には、工種ごとに施工手順、品質管理、安全対策などが、詳細に記載され、使用する材料の規格・品質・検査方法も整理されています。施工計画書の記載事項を決定する際に、土木工事共通仕様書をルールブックとして活用することができます。
品質管理に活用
土木工事共通仕様書には、工種ごとに適切な材料選択が指示され、品質基準が示されています。品質の管理や検査、チェックに土木工事共通仕様書を活用することで、工事の品質を確保し、手戻り防止により工事の効率化にもつながります。
関係者との情報共有に活用
土木工事共通仕様書を活用することで、施工者・発注者・監督などすべての関係者が、共通の理解を持ち、意思の疎通を円滑にすることができます。
新人教育や研修に活用
土木工事共通仕様書は、土木工事に関するすべての事項が網羅されているため、新人教育の際に教材として活用することで、理解しておくべき基準や要件などを体系的に学ぶことができます。

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