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建設リサイクル法の届け出とは?書き方のポイントや必要な工事・罰則まで一挙解説

建設工事を行う際には、環境への配慮が求められます。その一環として制定されたのが建設リサイクル法です。中でも事前届出は法律上の重要な手続きであり、違反すると罰則の対象になることもあります。この記事では、建設リサイクル法における事前届出のポイントから、必要な工事の条件や罰則規定までわかりやすく解説します。

「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。

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0. この記事はこんな読者におすすめ

  • 建設リサイクル法の事前届出について知りたい方
  • 解体や新築などの工事で、事前届出が必要かどうかの判断に迷っている方
  • 届出書の事前提出を忘れた場合の対処法を知りたい方
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1. 建設リサイクル法の事前届出とは

建設リサイクル法とは、建設工事に伴って発生する廃棄物のうち、再資源化が可能なものについて、分別解体および再資源化を義務づける法律です。正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」で、2000年に制定されました。

この法律により、コンクリート、アスファルト、木材などの特定建設資材を含む一定規模以上の工事をおこなう際には、着工前に都道府県または市区町村などの行政機関へ届出書を提出する義務があります。これが「事前届出」と呼ばれる手続きです。

事前届出には、工事の内容、使用する資材、再資源化の計画などを記載する必要があります。事前届出をおこなうことにより、適切に分別解体・再資源化がおこなわれているかどうかを行政が確認でき、環境保全および資源の有効利用を図る仕組みとなっています。

届出を怠った場合や虚偽の内容を記載した場合は、指導や勧告、さらには罰則が科される可能性もあるため、対象となる工事を行う場合は十分な注意が必要です。

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2. 事前届出が必要な工事の条件

建設リサイクル法に基づく事前届出は、すべての建設工事に必要なわけではありません。コンクリートやアスファルト、木材といった特定建設資材を含み、以下のいずれかに該当する場合は事前届出が必要です。

工事の種類 事前届出が必要となる条件
建築物の解体工事 床面積80㎡以上
建築物の新築または増築工事 床面積500㎡以上
建築物の修繕・模様替等工事(リフォーム等) 請負代金が1億円以上
建築物以外の工作物の工事(土木工事等) 請負代金が500万円以上
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3. 事前届出の流れ

建設リサイクル法に基づく事前届出は、工事の着工前に県または特定行政庁の市に提出する必要があります。提出のタイミングを逃すと法律違反となり、指導や罰則の対象になる恐れもあるため、手続きの流れをしっかりと理解しておくことが重要です。ここでは、届出の基本的な流れについて順番に解説します。

特定建設工事に該当するかを確認する

まず、発注者や受注者は実施する工事が特定建設工事に該当するのかを確認しなければなりません。先述の事前届出が必要な工事の条件に当てはまっているか、チェックしてください。

必要な書類を揃える

特定建設工事に該当する場合は、届出に以下のような書類を用意します。

必要書類 内容
届出書(様式第一号) 自治体指定のフォーマットを使用
分別解体等の計画書 工事の種類ごとに用意
解体工事:別表1
新築・増築・修繕及び模様替え工事:別表2
建築物以外の工事:別表3
工程表 届出書に工程を記載できない場合に必要
位置図 工事現場の位置や周辺環境がわかる地図
現地カラー写真 解体工事の場合は必要
配置図・立面図 新築・増築工事の場合は必要
工事概要が分かる図面 修繕・リフォーム・建築物以外の工事の場合は必要
発注者から代理者への委任状(任意) 代理者が届け出る場合は必要

これらの書類は、工事の種類や内容に応じて使い分ける必要があるため、事前に何が求められるかを明確に把握しておくことが重要です。特に分別解体等の計画書は、解体・新築・修繕・土木工事などで様式が分かれており、工事内容に応じた別表を選んで記入しなければなりません。

また、添付資料として提出が求められる図面や写真は、現場の状況を行政側が正確に把握するための重要な資料となります。配置図や立面図などは設計段階から用意できるよう調整し、写真も解体前に確実に撮影しておきましょう。

委任状は任意ですが、発注者が届出業務を受注者に任せる場合は必須となります。最近では、書類への押印が不要となっている自治体や、電子申請に対応しているケースも増えているため、提出先の最新の運用ルールを確認のうえ、書類を準備・提出することが求められます。

届出提出:発注者が行政へ手続きをおこなう

事前届出は、発注者の義務として位置付けられています。そのため、発注者は工事着手(調査、測量、草刈、残置物撤去を除く)の7日前までに、工事を行う場所の都道府県知事または特定行政庁の市に届け出る必要があります。

なお、届出は原則として発注者がおこなう義務がありますが、委任状があれば受注者が代理で提出することも可能です。実際には、現場をよく把握している施工業者が提出を代行するケースも多いため、事前に委任の有無を明確にしておくことで手続きを円滑に進められるでしょう。

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4. 書類の書き方のポイント

様式は自治体によって異なりますが、届出書には以下のような内容を記載するのが一般的です。

  • 発注者または自主施工主の氏名・住所・電話番号
  • 工事の概要(名称・場所・規模)
  • 元請業者の氏名・住所・電話番号
  • 建設許可番号・主任技術者の氏名(建設業の場合)
  • 解体工事業の場合・技術管理者の氏名(解体工事業の場合)
  • 対象建設工事の元請業者から法第12条第1項の規定による説明を受けた年月日
  • 分別解体等の計画等
  • 工程の概要(工事着手予定日・工事完了予定日)

記載漏れや誤記があると再提出を求められることもあるため、図面や契約書と整合性を保ちながら丁寧に記載することが重要です。

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5. 事前届出書を忘れた場合の対応と罰則

事前届出書を忘れた場合、まずは管轄の自治体に連絡し、速やかに届出書を提出する必要があります。この段階では、多くの場合、助言・指導・勧告などといった「行政指導」として是正が促されます。行政指導は、行政手続法に基づく任意の協力を求める非権力的な「お願い」であり、これに従って是正すれば問題は解決されます。

しかし、この指導に従わない場合、次のステップとして建設リサイクル法に基づき、届出内容の変更などを具体的に義務付ける「命令」が発出されることがあります。これは行政からの権力的な措置であり、従う法的な義務が発生します。

この命令にも従わない場合、建設リサイクル法の罰則規定に基づき罰金が科される可能性があります。事前届出書のみ提出に関連した罰則は主に3種類あり、その根拠と金額は違反の悪質性に応じて定められています。

  • 届出義務違反(20万円以下の罰金)
    建設リサイクル法第10条第1項に定められた「工事着手の7日前までの届出」を怠る手続き上の義務違反で、第51条がその罰則を定めています。
  • 変更届出違反(20万円以下の罰金)
    届出内容に変更があったにもかかわらず、第10条第2項に基づく変更届を怠った場合で、これも届出義務違反と同様に第51条を根拠とする手続き上の義務違反と見なされます。
  • 変更命令違反(30万円以下の罰金)
    行政から届出内容の不備(例:分別解体の計画が不適切など)に対して第10条第3項に基づき出された具体的な「変更命令」に従わなかった場合の違反です。この罰則は第50条を根拠としており、単なる手続違反ではなく、行政の具体的な是正命令に反する悪質な行為と判断されるため罰金額が高く設定されています。

このように、ミスに気づいた時点で速やかに行政指導に従うことが、より重い命令や罰則を回避するために極めて重要です。

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6. 完了後の再資源化等報告書とは

建設リサイクル法では、工事が完了した後に再資源化等報告書を作成し、受注者から発注者へ提出することが義務付けられています。再資源化等報告書は、特定建設資材(コンクリート、アスファルト、木材など)の分別解体や再資源化が、計画どおり適切に行われたかどうかを確認するためのものです。再資源化等報告書に記載する項目は以下の通りです。

  • 再資源化が完了した日付
  • 工事の名称
  • 工事の場所
  • 再資源化等をした施設の名称及び所在地
  • 特定建設資材廃棄物の再資源化等に要した費用
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