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廃液処理とは

環境や人体に悪影響を及ぼす可能性がある廃液。薬品工場や化学工場などから排出される他にも、清掃現場のような場所でも大量に排出されています。この廃液について、その概要や処理の際に適用される法律などについて詳しく解説します。

「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。

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1. 廃液とは

廃液とは、不要になって捨てられる汚れた液体の総称です。廃液は、薬品工場や化学工場といった場所から排出されるのはもちろんのこと、一般家庭や清掃現場などからも排出され、中には有害な物質を含まれているケースもあるため、正しく処理をしなければなりません。

廃液は品目によっては廃棄物処理法における産業廃棄物として廃酸や廃アルカリなどに分類されています。

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2. 廃液の成分とは

下水道法や水質汚濁防止法といった法律では、廃液を排出しても良いとされる基準が定められているため、廃液の成分についてはしっかりと把握しておく必要があります。廃液の成分は、元となる薬品の種類によってさまざまです。

水素イオン濃度

水素イオン濃度はpHとも呼ばれ、物質の酸性やアルカリ性の強さを示す数値のことです。この数値は0~14で表され、高すぎても低すぎても環境に悪影響があります。たとえば強い酸性やアルカリ性を持った廃液(pH 値が 5 ~ 9 を外れる廃液)を下水道に流してしまった場合、下水道や下水施設を損傷させてしまう危険もあります。

生物化学的酸素要求量

生物化学的酸素要求量とは、水中の有機物を微生物が分解する際に必要とされる酸素量のことです。河川の水質を表すのに使われており、生物化学的酸素要求量の高い廃液を河川に流してしまうと、この数値が高くなります。そして有機物分解に水中の溶存酸素が大量に消費されて、水質が悪くなり、付近の生物を死滅させてしまう可能性があります。

化学的酸素要求量

化学的酸素要求量とは、水中の被酸化物を酸化するために必要な酸素量のことです。この数値が高ければ高いほど、水中にある有機物の量が多いということを意味しており、水質が悪いと判断されます。ちなみに、河川での水質汚濁の指標としては上で紹介した生物化学的酸素要求量が用いられますが、海域や湖沼ではこちらの化学的酸素要求量を用いて水質を調べるのが一般的です。

浮遊物質量

浮遊物質量とは、溶解せずに水中に浮遊している直径2mm 以下の物質の量のことです。
その中には、プランクトンなどの生物の死骸や糞、またその分解物やこれらに付着する有機物、さらには粘土微粒子などの無機物などが含まれます。この数値が高いほど、水の透明度が下がり、ひどい場合は魚のえら呼吸や植物の光合成に影響を及ぼすこともあります。きれいな川の浮遊物質量はおよそ25mg/lであり、公共用水域へ排出する場合の基準値は200mg/l、公共下水道へ排出する場合の基準値は600mg/lとなっています。

n-ヘキサン抽出物質

n-ヘキサン抽出物質とは、水中にある油脂や炭化水素などの油状物質のことで、水が油に汚染されているかを見る指標です。具体的には、油分(鉱油類、動植物油脂類など)の他にも、界面活性剤や石鹸、アルコールなど不揮発性物質の総量をノルマルヘキサン抽出物質として分析します。こうした油分などが水中に増えると、魚介類が死んでしまったり、油臭がついて商品価値がなくなったりします。

亜鉛含有量

亜鉛含有量とは、水にどの程度の亜鉛が含まれているのかを示す指標のことです。
亜鉛は比較的広くある金属で、水にも通常1~10μg/l程度含まれ、人体にも必要な生体必須元素の一つで、欠乏すると発育不全や皮膚・毛髪・爪の健康に影響がでます。
しかし、亜鉛は魚類や水生生物などの生息や生育に支障をきたす強い毒性があるので注意が必要です。また、高濃度の亜鉛が検出された場合、カドミウム汚染の可能性もあるので更なる調査が必要となる場合があります。

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3. 廃液に関する法律

廃液を排出する際、事業者に直接的に関連する法律として、「廃棄物処理法」「水質汚濁防止法」「下水道法」という3つの法律があります。それぞれどのような法律で、どのように事業者に関連してくるのか、以下に解説していきます。

廃棄物処理法

廃棄物処理法は、廃棄物の適正な処理による生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律で、廃棄物の定義や処理方法の基準などが定められています。例えば清掃業者によって排出された廃液を、清掃業者自身が持って帰って廃棄する場合、その廃液は産業廃棄物という扱いになるため、廃棄物処理法で定められた基準などに従って処理しなければなりません。

水質汚濁防止法

その名の通り、水質汚濁を防止するための法律で、事業場からの公共用水域への排出及び地下水への浸透の規制や、廃液によって人の健康に被害が生じた場合の責任などについて定められています。この法律は、公共用水域に排出される水を対象としており、下水道へ排出する場合は下で解説する下水道法が適用されるため注意しましょう。

下水道法

下水道法は、下水道の設置や管理に関する基準を定め、都市の健全な発達や公衆衛生の向上を目指すとともに公共用水域の水質保全にも資することを目的とした法律です。下水道に廃液を排出する場合は、水質汚濁防止法の規制ではなく、下水道法の規制に従わなければなりません。

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4. 廃液処理の流れ

最後に、廃液処理の流れについて見ていきましょう。

油水分離

油水分離とは、油と水が混ざった廃液を分離装置にかけて、水と油に分離させる処理方法のことです。特に工場排水などには油が混ざっているケースが多く、処理工程としては非常に重要なものとなります。ちなみに、水と分離された油は別途廃油処理され、新たな製品などにリサイクルされます。

中和・凝集

中和・凝集は、廃水に含まれる汚濁成分を除去するための工程です。酸性の廃水に対してアルカリ性の薬剤を投入して中和したり、凝集剤を投入して汚染物質を凝集したりなどして、水中の不純物を取り除いていきます。

脱水処理

廃水はそのままの状態では非常に体積が大きく、仮に水分が含まれたままの状態で処理をしようとすると、非常に大きなコストがかかってしまいます。そこで用いられるのが脱水処理です。廃水を水分と固形物に分けることで、それぞれを個別に処理できるようになり、水はよりきれいな状態になり、固形物である汚泥は、肥料やレンガなどにリサイクルが可能になります。

活性汚泥処理

活性汚泥処理とは、微生物や細菌を利用して、廃水中の有機物を分解させる処理方法のことです。この工程を踏むことで、中和・凝集では除去しきれなかった有機物が取り除かれ、廃水をよりきれいな状態にすることができます。ここで完全に浄化された廃水は、下水道や河川などへと放流されます。

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