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法令コラム

産業廃棄物の「鉱さい」とは

廃棄物処理法で定める産業廃棄物の種類の一つに、「鉱さい(スラグ)」があります。あまり耳なじみのない言葉であり、また一口に鉱さいと言っても、その種類や分類は複数あるため、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、鉱さいの概要や発生条件、その処理方法などについて、詳しく解説していきます。

産廃担当者が知るべき廃棄物処理法

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産廃担当者が知るべき廃棄物処理法

新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。

1. 鉱さい(スラグ)とは?

鉱さいとは、鉄やニッケル、クロムといった鉱物を精錬する際などに生じる、目的成分以外の溶融物資のことです。スラグとも呼ばれており、ごみなどを焼却施設で処分したときに発生する廃棄物加熱溶融起源のものや、鋳造製品の鋳型として使われた「鋳物砂」なども鉱さいの一種に含まれます。環境省が発表する「産業廃棄物の排出及び処理状況等」では、年間の排出量は1324万トン、産業廃棄物全体に占める割合は3.5%となっています。

鉱さいの発生条件

鉱さいは、鉱物を精錬する際に発生します。例えば製鉄の工程では、鉱物が高温で溶融し液状になり、比重によってその表面に不純物が分離します。この不純物は、最終的には冷却され、石や砂のような鉱さいとなって排出されるのです。

鉱さいの種類

鉱さいは大きく分けて鉄鋼スラグと非鉄金属スラグの2種類の分類があります。さらに鉄鋼スラグは、銑鉄を製造する際に出る高炉スラグと、鋼を製造する際に出る製鋼スラグに分けられます。非鉄金属スラグでは、フェロニッケルスラグと銅スラグなどが代表的な鉱さいです。

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2. 鉱さいの処理方法

政令指定産業廃棄物の一つである鉱さいは、廃棄物処理法に則り適切に処理する必要があります。では、鉱さいの処理方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

鉱さいの流れ

鉱さいを処理する場合、管理型最終処分場で処分されるのが一般的です。ただし、鉱さいに有害物質が含まれる場合は、遮断型最終処分場で処分する必要があります。なお、最初から有害物質の混入を防ぐことで、鉱物資源の代替物にリサイクルすることが可能です。

路盤材としてのリサイクル

路盤材とは、アスファルトやコンクリートの路面の下に敷かれる石や砂利のことです。道路を敷設する時には、規格に則った強度と粒度の石や砂利で、地盤への荷重を調整する必要があるのです。鉱さいは石や砂利に外見面でも性質面でもよく似ているため、路盤材に用いてリサイクルすることができます。
一方、鉱さいの成分によっては有害物質が溶出する恐れがあり、土壌環境基準の問題が生じる可能性がなくはないため、慎重に進める必要があります。

セメント原料としてのリサイクル

近年は、電気炉などから排出された鉱さいをセメント原料としてリサイクルするケースが増えています。セメント原料である粘土や珪石の代わりに、成分が適した鉱さいを使用するのです。セメント原料にすると鉱さいの有害物質溶出のリスクはないため、安心してリサイクルすることができます。

肥料としてのリサイクル

鉱さいの中でもメジャーな高炉スラグには、肥料成分となるCaO、SiO₂、MgOが含まれており、これらは「鉱さいけい酸質肥料」として稲作に活用されています。また、もう一つメジャーな製鋼スラグには、他にもFeO、MgO、P₂O₅といった成分が含まれており、稲作はもちろん、畑作や牧草用など、幅広い用途で活用されています。
こうした成分は、植物の光合成を助け、葉緑素の生成などに重要な役割を果たすほか、鉄分が欠乏した土壌を改良したり、アルカリ成分によって酸性化した土壌を中和したりする効果が期待できます。

磯焼け対策

磯焼けとは、沿岸部のコンブやワカメといった海藻の多くが死滅してしまい、その代わりに炭酸カルシウムを主成分とする白色小型藻類に覆われてしまう現象のこと。磯焼けが起こると、周辺の水棲生物が減少し、漁業に大きなダメージを与えてしまいます。この磯焼けの原因は、水温の上昇や水質汚濁、ウニによる食害などさまざまですが、その中の一つとして、水中の鉄分不足があります。この水中の鉄分不足は、河川上流での木々の伐採によって、落葉の堆積でできていた腐植土中の腐植酸鉄が減少し、海への鉄分供給が減少したことが原因の一つと考えられています。そこで、鉄分が多く含まれる鉱さいを水中に投下し人工的に鉄分を供給することで、海藻類に栄養を届けようという試みが、近年各地で積極的に行われています。

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3. 鉱さいの問題点

産業廃棄物の中では比較的再利用率が高く、また活用の幅も広い鉱さいですが、鉱さいならではの課題もあります。以下に、鉱さいの問題点について紹介していきましょう。

すべてを再利用できているわけではない

日本産業規格(JIS)が制定され、満たすべき品質や環境安全性も明確になっている鉱さいの路盤材や骨材としての再利用ですが、必ずしもそのすべてが再利用できているわけではありません。特に品質面については、長期的な強度や安定性に不安があるという声も少なくなく、加えてしっかりとした品質を確保するためには、粒度調製や不純物の分離といった追加の加工が必要であり、再利用するための技術やノウハウが足りていないという現状があります。

環境汚染の可能性

鉱さいには重金属が含まれており、万が一にもそれらが流出しないように対処・試験した上で再利用をしていきますが、すべての危険が取り払われたわけではありません。特に建設資材として再利用された場合などは、屋外で雨や風、紫外線や温度変化に長期間さらされることになるため、最初は問題がなくとも後々になって重大な問題が出てきてしまう可能性もあるのです。もしも再利用した鉱さいから重金属が流出した場合、その周囲に深刻な環境汚染を招いてしまうこともあるでしょう。

鉱さいが原因の事故も

鉱さいの再利用には日本工業規格が制定され、重金属が流出しないように対処することは上でお伝えしましたが、そうした処理から漏れた形で利用され、被害が出てしまったケースもあります。
代表的な事例が、2014年に群馬県渋川市で起こった、再利用した鉱さいから環境基準を超える六価クロムとフッ素が検出された事件。これは、本来であれば産業廃棄物として処理すべき鉱さいを、再生資材として逆有償取引することで発生した、いわば人災と言えるでしょう。
他にも、2006年に愛媛県今治市で住宅地の近くに鉱さいが埋め立てられ、近隣の住民に粉じんや臭気による健康被害をもたらし、なおかつ鉱さいから強アルカリ水の漏出し瀬戸内海に流出したことで、カキの大量死も巻き起こした事件もあります。この事件も、鉱さいをあくまでも自社地内で一時保管することで正しく処理していなかった、人災の一つと言えるでしょう。
鉱さいは有用な産業廃棄物であることは間違いありませんが、一方で大きな危険性もはらんだものであることも事実です。そのため、いくら規制があっても、それを守らない、悪用しようという人がいれば、周囲に悪影響を及ぼす事故は起こってしまうのです。

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4. まとめ

一般的には耳なじみのない鉱さいですが、路盤材やセメント原料などにリサイクルされる、再生利用率の高い産業廃棄物となっています。鉱さいを処理する際は、管理型最終処分場などでの処分かリサイクルを選択し、適切に処理するようにしましょう。

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