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特別管理産業廃棄物管理責任者とは

産業廃棄物の中でも、爆発性のあるものや毒性、感染性のある「特別管理産業廃棄物」を排出する事業者は、それらの処理業務を適切に行うために、特別管理産業廃棄物管理責任者を事業所ごとに設置しなければなりません。ここでは、特別管理産業廃棄物管理責任者(以下、廃棄物管理責任者と表記)の概要や任命できる人の条件などについて、詳しく解説していきます。

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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。

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1. 特別産業廃棄物管理責任者と廃棄物管理責任者の違い

特別管理産業廃棄物管理責任者について解説していく前に、まずは似た名前で混同されてしまいがちな廃棄物管理責任者との違いについて見て行きましょう。

特別管理産業廃棄物管理責任者と廃棄物管理責任者それぞれの主たる目的は、排出される廃棄物を管理・把握し、適正に処理していくことですが、下記が異なっています。

  特別管理産業廃棄物責任者 廃棄物責任者
責任者設置の法的根拠 廃棄物処理法 各自治体の条例
責任者設置が必要な条件 事業場で特別管理産業廃棄物を排出する場合 事業用延床面積が一定以上ある場合
責任者になるための資格 専門的な経験や資格が必要 特になし

責任者設置の法的根拠

特別管理産業廃棄物を排出する事業場を設置している事業者は、当該事業所で排出する特別管理産業廃棄物の処理業務を適切におこなわせるために特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。(廃棄物処理法 第12条の2第8項)

一方、廃棄物管理責任者について定めているのは、市区町村など各自治体の条例です。参考までに東京都港区では、事業用大規模建築物の所有者は、当該建築物から排出される事業系一般廃棄物の減量及び適正な処理に関する業務のため、廃棄物管理責任者を選任し、その旨を区長に届け出なければならないとなっています。(港区廃棄物の処理及び再利用に関する条例 第19条2項)

責任者設置が必要な条件

特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が必要な条件は、事業場で特別管理産業廃棄物を排出する場合とされています。(廃棄物処理法第12条の2第8項)

一方、廃棄物管理責任者の設置が必要な条件は、自治体によって異なり、事業用延床面積が一定以上ある場合に設置をしなければなりません。参考までに、東京都港区の場合は事業用延床面積1,000平方メートル以上が対象となっており、廃棄物管理責任者を選任して30日以内に届け出る義務があります。また事業用延床面積3,000平方メートル以上の場合、廃棄物管理責任者は選任後6ヵ月以内に、廃棄物管理責任者講習会を受講しなければなりません。

責任者になるための資格

特別管理産業廃棄物管理責任者については後にも触れますが、かなり厳しい条件が課されており、専門的な経験・資格の有無や講習会の受講及びその修了試験に合格することが求められます。 (廃棄物処理法施行規則第8条の17第1号 、第2号)

一方、廃棄物管理責任者に関しては、責任者になるための特別な資格というものはなく、廃棄物の状況を常時把握できる人から選べば良いことになっています。

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2. 特別管理産業廃棄物管理責任者の設置義務

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)法第12条の2第8項では、特別管理産業廃棄物を排出する事業者は、事業場ごとに廃棄物管理責任者を設置することが義務付けられています。
しかし、廃棄物管理責任者になるためには、廃棄物処理法の施行規則で定める資格を持っている必要があり、どのような人でもその職責に任命できるわけではありません。もしも事業者が廃棄物管理責任者を設置しなかった場合は、30万円以下の罰金が科されてしまいますので注意をしなければなりません。

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3. 特別管理産業廃棄物管理責任者の役割

爆発性や毒性を持っている特別管理産業廃棄物は、何も対策を講じなければ、人々の健康や生活に大きな被害を与えてしまう可能性があります。そのため、特別管理産業廃棄物の管理や処理については、通常の産業廃棄物よりもより一層注意深く、かつ確実に遂行していかなければなりません。こうした管理・処理の徹底こそが、廃棄物管理責任者に与えられた役割であり、旧厚生省通知では、具体的に以下の内容が記されています。

排出状況の把握

自らの事業所がどういった種類の特別管理産業廃棄物をどれぐらい排出しているのかを正しく把握することが、廃棄物管理責任者に与えられた役割の一つです。排出状況の把握ができていなければ、不法投棄などの事件を未然に防いだり、何らかのトラブルがあった時に迅速な対応ができず、被害をいたずらに拡大してしまったりする可能性もあります。さらに、以下に紹介する廃棄物管理責任者としての役割の残り2つを担うことも難しくなってしまうため、特に重要な役割と言えます。

処理計画の立案

廃棄物管理責任者は、自らの事業所の排出状況を把握した上で、それをどのように処理していくのか、その方法や計画を決めていかなければなりません。事業所の規模による多少の差はあっても、廃棄物の処理は総じて複雑で、その場その場の判断で進められるような簡単なものではありません。事前にしっかりと計画を立て、各担当者がやるべきことをしっかりと明確にしておくことで、スムーズな処理を実現することができるのです。

処理方法の確保

立案した処理計画に応じた委託業者の選定やマニフェストの交付等も、廃棄物管理責任者の役割となります。人々の暮らしや地域社会の環境を守るという自覚を持ち、責任感を持って一つひとつの業務にあたることが大切です。

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4. 特別管理産業廃棄物管理責任者の資格の内容

廃棄物管理責任者には、「感染性産業廃棄物を生ずる事業場」に対応できるものと、「感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を生ずる事業場」に対応できるものの2種類があります。またそれぞれの廃棄物管理責任者になるために必要な資格も異なるため注意が必要です。

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5. 特別管理産業廃棄物管理責任者になるまでの流れ

「感染性産業廃棄物を生ずる事業場」に対応できるものと、「感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を生ずる事業場」に対応できるものの2種類がある廃棄物管理責任者ですが、その任に就くためにはそれぞれ必要となる資格を有しておく必要があります。

「感染性産業廃棄物を生ずる事業場」の場合

感染性産業廃棄物を生ずる事業場で廃棄物管理責任者になるための資格は、全部で3種類あります。

一つ目が、医師や薬剤師、看護師など、医療系の資格を有していることです。

二つ目が、環境衛生指導員の資格を有していることです。この条件で廃棄物管理責任者を目指す場合、資格を持っていることに加えて、環境衛生指導員として2年以上の実務経験を積んでおく必要があります。

三つ目が、大学・高専の医学や薬学等の課程を卒業していることです。こちらは、実務経験等は必要ありません。

「感染性産業廃棄物以外の特別管理産業廃棄物を生ずる事業場」の場合

学校区分および修了科目によって、廃棄物管理責任者になれる条件が細かく違っているため注意しましょう。また「感染性産業廃棄物を生ずる事業場」の場合と違い、条件として廃棄物の処理に関する実務経験が問われるようになっている点もしっかり確認しておかなければなりません。そしてその中でも特に注目すべきなのが、表中にある「上記の者と同等以上の知識を有すると認められる者」という表記です。

多くの都道府県・政令市では、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が開催している「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」を修了することで、上記の「同等以上の知識を有する」と認められるようになっています。そのため、JWセンターの講習を受講することで廃棄物管理責任者になるケースが多くなっています。

特別管理産業廃棄物管理責任者の試験内容

「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」を経て資格を取得するためには、講義受講後の修了試験に合格する必要があります。
講義は、以前は会場開催でしたが、最近の講義は、事前にテキストが送付されたうえでのWEB講義となり、修了試験のみ、会場開催となります。WEB講義のメリットとして、事前にテキストにしっかり目を通し、何度でもWEB受講が可能なので、しっかり覚えやすいという点が挙げられます。

この修了試験は30分間で行われ、出題形式は二者択一か四者択一のマークシートとなっており、全20問中14問以上の正解で合格することができます。

出題内容は、廃棄物の定義やマニフェスト、廃棄物処理法についての基礎知識を問われるものが中心となっていますので、試験前の講義をしっかりと聞き、講師が重要と話す部分はしっかりメモを取るなどして対策すると良いでしょう。

出題範囲

  • 行政概論(廃棄物定義・廃棄物処理法・特別管理産業処理計画・処理計画・産業廃棄物管理マニュアルについて)
  • 特別管理産業廃棄物の処理と管理(処理計画・処理計画の実際方法・産業廃棄物管理マニュアルの作成)など

これまでの試験では、例えば以下のような問題が出題されました。

Q:次の文章で、適当なものには○、適当でないものには×を付けなさい

特別管理産業廃棄物を排出した事業者が自分で、その廃棄物を処分設備に運搬するときには、特別管理産業廃棄物の収集や運搬などの基準は適用外である。
→正解:× 排出者自身が廃棄物を収集・運搬する際も基準は適用される

感染性廃棄物とは、医療関係から生じ、人が感染もしくは感染させる恐れがある病原体が含まれる。また、付着している廃棄物や恐れのあるものも同様である。
→正解:○

廃棄物処理法では、廃棄物とは占有者が自分で利用し他人に有償で売却のできないために不要となった固形状、液状のもの又は気体状のものである。
→正解:× 廃棄物処理法では、気体を廃棄物とは定義していない

「事業活動」とは、製造業や建設業に限定されているものである。
→正解:× 限定されておらず、商業活動や水道事業、公共事業等も事業活動として認識される

廃棄物処理法では、廃棄物は「自らの責任に置いて適正に処理する」とされており、第三者に処理を委託することはできない。
→正解:× 委託は可能。しかし処理責任は排出事業者にあるため、必要な措置を講じる必要がある

医師や薬剤師、看護師などの資格がなければ、特別管理産業廃棄物の感染性産業廃棄物の管理責任者にはなれない。
→正解:× 実務経験や講習会受講による資格取得等で、管理責任者になることは可能

問題は決して難しいものではなく、また講義をしっかりと聞いていれば、すべて正しく解答できるものとなっていますので、落ち着いて受験することが大切です。また万が一試験に落ちてしまっても、2年後の3月までの間に2回までであれば再受験が可能です。

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6. 講習会情報

最後に、上でも解説した「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」について、詳しく紹介します。

JWセンターの講習会

廃棄物管理責任者の資格取得を目指す人を対象に開催されている講習会で、特別管理産業廃棄物に関わる業務を適切に遂行するために必要な知識の修得が目的です。

講習会は丸一日をかけて行われ、最後に修了試験を受け、それに合格することで廃棄物管理責任者としての資格が認められるようになります。

受講の申込みは郵送またはWebから行えるようになっております。申込み後、受講料の支払いが完了すると、テキストが届けられますので、それを元にオンラインで講義動画を視聴。その後、専用の会場で試験を受け、それに合格をすることで、廃棄物管理責任者としての資格を得ることができます。

JWセンター講習会URL:https://www.jwnet.or.jp/workshop/index.html

リバスタの無料講習会

前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く。)の発生量が50トン以上の事業場(詳しくは http://www.env.go.jp/recycle/waste/laws/kaisei2017/faq_mani.html)では20年4月より電子マニフェストが義務化されました。

リバスタでは電子マニフェストに関する講習会を無料で実施しております。講習会では電子マニフェストに関する情報はもちろん産廃委託契約の電子化に関する情報も提供しております。下記URLからお申込みできます。

リバスタ講習会URL:詳細はこちら

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