4産業廃棄物マニフェスト

産業廃棄物の処理を収集運搬業者や処分業者に委託する際、産業廃棄物の排出事業者は専用の伝票を交付し、それを管理することによって産業廃棄物が適正に処理されていることを把握しなければなりません。この専用の伝票のことを「産業廃棄物マニフェスト(産業廃棄物管理票)」と言い、この全体の仕組みのことを「マニフェスト制度」と言います。産業廃棄物マニフェストを正しく利用するためにはこの制度の概要や注意点を抑える必要があります。

01マニフェスト制度とは?

産業廃棄物の排出事業者が、産業廃棄物の処理を外部に委託する際、マニフェスト制度に則ってしかるべき対応をしなければなりません。まずはマニフェスト制度について解説していきましょう。

マニフェストとは

マニフェストとは、産業廃棄物管理票とも呼ばれ、産業廃棄物の排出事業者がその処理を外部に委託する際に交付しなければならない、専用の伝票のことです。排出事業者は、このマニフェストを産業廃棄物と一緒に流通させることによって、産業廃棄物に関する正しい情報の伝達と適正な処理の把握を行わなければなりません。この仕組みのことを「マニフェスト制度」と呼びます。

制度の詳細

マニフェスト制度は、厚生省(現在の環境省)の行政指導によって、平成2年に始まりました。当初は、産業廃棄物の中でも爆発性や毒性、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれのある特別管理産業廃棄物のみがマニフェスト制度の対象となっていましたが、平成12年から適用範囲がすべての産業廃棄物に拡大しました。

マニフェスト制度では、排出事業者は、マニフェストの交付後90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)に、委託した産業廃棄物の中間処理が終了したことを、マニフェストを通して確認しなければなりません。また最終処分については、マニフェスト交付後180日以内に確認する必要があります。ちなみに、中間処理が行われない場合は、マニフェスト交付から90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)に最終処分の確認が必要です。

上記の確認ができない場合、排出事業者は処理を委託した産業廃棄物の状況を把握した上で適切な措置を講じつつ、確認ができていない旨を都道府県や自治体等に報告しなければなりません。

02マニフェストが必要な理由

マニフェスト制度は、排出事業者責任の明確化と、不法投棄等の防止を目的として実施されています。この制度がなかった時代は、排出事業者が委託した産業廃棄物が、いつ運ばれ、いつ処理されたのかが明確にわからず、不法投棄を未然に防ぐことや、仮に不法投棄があった場合その事実を把握するのが困難な状態になってしまっていました。しかしマニフェストがあれば、排出事業者は産業廃棄物の処理の流れを具体的につかむことができるようになりますので、産業廃棄物の処理に関係するトラブルを未然に防ぐことができるようになるのです。

03マニフェストの内容

排出された産業廃棄物が適切に処理されていることを確認するために、マニフェストには以下の内容を記載し、各業者へと交付しなければなりません。

  • 管理票の交付年月日及び交付番号
  • 運搬又は処分を委託した者の氏名又は名称及び住所
  • 産業廃棄物を排出した事業場の名称及び住所
  • 管理票の交付を担当した者の氏名
  • 運搬又は処分を受託した者の氏名
  • 運搬先の事業場の名称及び住所(積み替え又は保管を行う場合は、その住所)
  • 産業廃棄物の荷姿
  • 最終処分を行う場所の住所
  • マニフェストを交付した者の氏名又は名称及び交付番号(中間処理業者の場合)
  • 処分を委託した者の氏名又は名称及び規則第八条の三十一第三号に規定する登録番号(中間処理業者で、排出事業 者が紙マニフェストを使用している場合)
  • 産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその旨(排出事業者が電子マニフェストを使用している場合)

これらの項目に一つでも漏れがあると、正式なマニフェストとして認められませんので注意しましょう。

04マニフェストの流れ

マニフェストは産業廃棄物の種類と行き先ごとに作られ、それぞれ排出事業者から収集運搬業者へ交付されます。その後、マニフェストは収集運搬業者から処理業者へと渡りつつ、それぞれの役割が完了した段階で、収集運搬業者からは運搬終了報告として、処分業者からは処分終了報告として、排出事業者の元へと返送されます。

05マニフェストの種類

マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。

紙マニフェスト

紙マニフェストとは、制度が始まった当初から使われているマニフェストで、その名の通り紙の書類として用いられます。通常A・B1・B2・C1・C2・D・Eの7枚複写式になっており、それぞれの事業者が該当する項目を記入、所持することで産業廃棄物の管理を行います。産業廃棄物の排出量が増えると、それに伴って紙マニフェストの量も増えていくため、これらをしっかり保管・管理しておける場所や人員を確保しておくことが大切です。

電子マニフェスト

電子マニフェストとは、マニフェスト情報を電子化し、ネットワークでやりとりをすることで業務の効率化と確実性を向上させる、新しい仕組みです。1998年12月より運用が開始されました。 紙マニフェストに比べ、書類管理の労力やスペースを大きく削減することができるのが最大のメリットです。ただし、電子マニフェストを利用するためには、日本廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム(JWNET)へ加入する必要があり、また自社だけでなく、業務を委託する収集運搬業者と処分業者も同様にJWNETに加入していなければならないため、注意が必要です。

加えて、2020年4月1日より、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者は、紙マニフェストではなく、電子マニフェストを使用することが義務付けられるようになっていることも覚えておきましょう。

06マニフェストに関する罰則

マニフェストを交付しなかったり、虚偽の記載をしたりなど、マニフェストに係る義務を守らなかった事業者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑罰が科されます。またマニフェストの不適正処理が行われた場合、都道府県から措置命令を受けることがあり、それに従わない場合は、5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金又はその両方が科せられることになります。

加えて、先ほども解説した通り、電子マニフェストは一部義務化をされており、それが守られなかった場合、都道府県知事から必要な措置を講ずべき旨の勧告を受けることもあります。勧告に従わなければ社名等が公表され、その後にも措置をとらなければ、措置をとることの命令が下されます。さらにこの命令にも違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

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