導入事例

株式会社大林組様【2】

株式会社大林組 (排出事業者)

大林組の本店では、2004年10月に初めてイーリバースドットコムのASPサービスを使って電子マニフェストを導入して以来、電子マニフェストの普及拡大が続き、すでに200現場を超えるまでになっている。マニフェスト全体に占める電子化の割合を考えれば、驚異的な数字だ。なぜこれほどまでに電子マニフェストが急速に浸透していったのか。本店安全企画部建設副産物グループ長の脇田勝彦氏にお話を伺った。

 

本店安全企画部建設副産物グループ長 脇田勝彦氏 (2006年8月現在)

Webサービスを実際に見て、「これは使える」と直観

Q. 大林組の本店では、2004年10月にイーリバースドットコムのASPサービスを使って電子マニフェストを導入して以来、すでに200現場に広がっています。まず、導入までの経緯を教えてください。

電子マニフェスト制度の発足時から、電子マニフェストには強い関心がありました。しかし当初開発されたシステムは、すべての業種を対象としていたため、建設現場の特性に合わせて改良しなければならない部分が多く、「電子マニフェストの導入は時期尚早だ」と判断しました。

 

Q. その後の電子マニフェスト導入の決め手になったのは何だったのですか。

数年前に関東でイーリバースドットコムのASPサービスを使った電子マニフェストの試行があり、当社の東京本社で試行内容と結果についての説明会がありました。そのときに「これは使える」と直感したんです。このシステムなら電子マニフェストを導入できる。だったら一刻も早く、と。

 

Q. 「使える」とお感じになった最大のポイントは何でしたか。

イーリバースドットコムが建設系の廃棄物の動きをよく知っているということです。現場、収集運搬業者、処分業者などの各々の事情をよく研究している。そういうスタッフが開発したシステムだから、使い勝手の良いものになるはず。それが最大のポイントでしたね。

 

Q. 試行段階を経ずにいきなり導入に踏み切られましたが、その理由は?

試行してみて「良かったら使う」というのでは、いつまでも試行、試行で、なかなか次の段階に進まないでしょう? 最初から完璧なシステムなんてありませんから、まず導入してみて、不都合なところは改善していけばいい。「使える」との直感を信じて、多少の不具合は我慢するつもりでした。さらに、イーリバースドットコムは建設現場を良く知っているのだから、少々苦労があってもついてきてくれる、より一層の努力を続けてくれると確信していました。お互いの立場に関係なく、一緒に協力して改善していけばいいと考えていましたね。

 

Q. 具体的にどんな点を改善されたのですか。

数え上げたらきりがありませんが……。例えば、複数の工事を管轄する現場の取り扱い、何年にも渡って工事が継続する現場の取り扱いなどですね。

 

排出事業者としての負担軽減が最大のメリット

Q. 電子マニフェストを率先して広げていこうという意識もお持ちなのですか?

いいえ、そのような使命感はありません。社内でのマニフェスト関連業務を簡素化することだけを考えています。キーワードは「簡単」、それだけ(笑)。電子化して関係者の負担を軽減できるなら電子化しようという、いたってシンプルな理由からです。

 

Q.電子化すれば業務が効率的になり、その分、コストダウンにもなるというお考えは?

コストダウンよりも業務の改善効果に期待していました。業務を効率化すれば結果的にコストダウンにつながるとの確信は持っていましたが、「コスト面で多少割高になっても、業務面で効率的だったら使うべきじゃないか」というのが僕の考えだった。正直言って、当初の設定単価は「ちょっと高い!」と不満で、実は今でもそう思っています(笑)。

 

Q.業務の改善に関して、具体的にどのような効果がありましたか。

一例としては、データ管理の省力化と保管スペースの解消が挙げられます。紙マニフェストでは伝票を5年間保管しなければいけませんが、この紙のデータ自体はその間まったく使えない、つまり保管場所に眠ったままの状態になっています。そのため社内システムを開発して、紙マニフェストの記載項目を電子情報化し、行政報告等の資料作成に利用しているのが現状です。保管する紙マニフェストは、大規模な現場なら一現場の伝票で倉庫の棚が一杯になる程ですし、社内システムへの入力にも多くの労力と時間を割かなければなりません。ASPサービスで電子マニフェストを導入すれば、社内システムへの入力は不要ですし、保管場所の確保に悩むこともなくなるわけです。

 

Q.それが先程の「簡単」につながるわけですね。

はい。廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)を遵守するうえで、マニフェストの適正な管理は最も重要です。「簡単」というのは、そのための努力をしている企業の負担が軽くならなければいけない、ということです。電子マニフェストにすれば、紙マニフェストの時のような紛失、記載漏れといったトラブルやミスもなくなる。もちろんデータ入力の際に人為的な操作ミスはあるにしても、排出事業者としての負担はかなり軽減されます。廃棄物の正確な情報が簡単な操作で確保できることが、電子マニフェストの一番のメリットだと思います。

 

電子化による改善効果は、100%期待通り

Q.導入に際して、現場の方からの抵抗はありませんでしたか?

初めてのことなので多少の不安はありましたが、事前に電子マニフェストの内容をしっかりと説明していたので、大きなトラブルはなかったですね。会社の方針だから仕方がないという面もあったかもしれませんが(笑)。

今日まで順調に採用現場数の拡大が続いてきているのは、現場のスタッフをはじめ、処理業者さんの理解と協力を得られていることが大きな要因だと思います。

 

Q.実際に導入されてからの、現場の方や処理業者さんからの反応は?

反応は実にいいですよ。処理業者さんからも不便だという声はほとんど聞こえてこないし、現場担当者も「紙マニフェストと比べて簡単だし、便利だ」という意見が多いですね。一度電子マニフェストを経験した担当者は、次の現場でも必ず使ってくれています。

紙マニフェストの場合、用紙の有無、紛失、毀損などの保管面での作業や、伝票の回収や照合、さらにデータの入力などの管理面での作業が避けられないのですが、電子ならそういった作業が大幅に軽減されます。業務の改善効果は大きいはずです。

 

Q.では、最初に期待された通りのメリットはあったと?

そうですね。現場での対応が簡単ですし、業務の効率化には必ず結びついている。それは100%。読み通りですね(笑)。

 

Q.逆に、電子マニフェストを広げていくうえでの問題点は何でしょう。

排出事業者が率先して取り組まなければならないことはもちろんですが、取引先である処理業者さんの理解と協力が得られなければ一歩も前進しません。したがって、排出側の立場だけでなく処分側の立場にも立って電子マニフェストの導入を計画することが大事だと思います。さらに、工事発注者の理解と協力も必要不可欠です。

 

Q.その問題点を解決するために最も重要なことは何だとお考えですか。

結局は関係者の熱意じゃないでしょうか。「電子マニフェストを使いましょう」という掛け声だけで問題は解決できません。電子マニフェストの普及にどう関わっていくかが問われているのだと思います。電子マニフェストには優れた機能性がある。「なんでこんなにいいものが普及しないのか」と考えれば、工夫もするし、改善もする。普及への努力を惜しむことはないはずです。

今、必要なのは、電子マニフェストについて論じるだけではなく、同時に実践する行動力です。自らが電子マニフェストの有効性と利便性を証明していく、つまり「魅力あるツール」に育てることではないでしょうか。1社でも多くの事業者が参加することで多くの問題点が解消され、より効果的なシステムに発展する。それに伴って、普及拡大も加速されていくと思います。

 

Q.脇田さんご自身にもいろいろなご苦労があったのでは?

自分から進んで取り組んだことなので、苦労と感じたことは特にありませんでした。あえて言えば、導入当初に何か所も関係者のところを回って、直接説明させてもらったことかな。暑い時期もあったので、それが一番大変でした。でも楽しかったですよ。

 

収集運搬業者が普及のキーポイント

Q.大林組の本店としての今後の普及目標をお聞かせください。

現時点で、発行しているマニフェストの半数以上は電子です。これを70%、80%くらいには持っていきたい。できれば100%が理想ですが、どうしても紙でなければというケースがありますから。

 

Q.しかし業界全体で見ると、電子マニフェストの比率は3%程度でしかないのが現状です。普及拡大の一番のキーポイントは何だとお考えですか?

僕は処理業者、特に収集運搬業者さんがキーだと考えています。マニフェストの発行は排出事業者の責務で、紙の場合、事業者はマニフェスト伝票を買って処理業者さんに渡していました。ところが電子マニフェストASPサービスを導入すると、処理業者さんもASPサービスの費用を負担しなければなりません。特に収集運搬業者さんは携帯モバイル機器が必要不可欠なので、サービス料に加えその分の費用負担が発生します。

こうした処理業者さんの費用負担をどう扱うべきか。排出事業者は電子マニフェストを導入する際にしっかり認識しておかなければならないと思います。電子マニフェストの運用においては、単に委託する側とされる側の関係ではなくなる。排出事業者は、収集運搬業者さん及び処分業者さんと緊密な関係を作っていくことが重要になります。

 

Q.事業者間に新しい関係性が生まれてくるということですね。

そうです。紙マニフェストから電子マニフェストへの移行は時代の流れであり、その電子マニフェスト制度の一翼を処理業者さんが担っている。特に収集運搬業者さんの果たす役割は重要です。排出側だけでなく、処理側の認識も変わっていくことが必要だと思います。

 

Q.処理側の認識が変わってきたことは実感されていますか?

徐々に変わってきていますね。自主的に導入された業者さんもあります。電子マニフェストを導入すれば、処理業者さんはモバイル機器などに初期投資が必要になりますが、それ以上のメリットがあることは確かなんです。マニフェスト伝票の回付・送付などの手間と諸経費が省けるし、伝票を5年間保管しておく必要もなくなる。伝票への記入漏れや紛失によるトラブルの心配もなくなります。実際に処理業者さんから「電子マニフェストASPサービスにして大変良かった」という声を聞いています。普及が進めば、処理業者さんが負担するASPサービスの単価も安くなるでしょうし。

 

Q.発注者側の反応にも変化はありましたか?

ええ。当初は個別案件ごとに担当者に説明に行って、電子マニフェストの採用をお願いしていました。最近は発注者さん側の理解も得られるようになり、「電子じゃなく、従来の紙で」と言われることが少なくなりました。

 

常に改善を続けていくことが、電子マニフェストの最大のメリット

Q.今後、電子マニフェストはスムーズに普及していくでしょうか。

僕は電子マニフェストの普及には楽観的です。ある程度までの普及率を達成すれば、後は順調に拡大していくと思っています。

そのためにも、電子マニフェストを普及させるという関係者全員の熱意がなくてはなりません。待っているだけでは何も進まない。今、大事なのは議論より行動です。

ただ、電子マニフェストが普及していっても、イーリバースドットコムさんには「ASPサービスはこれでいい」と思ってほしくはないですね。このままでいいと思ったとたんに、ASPサービスの魅力がなくなってしまう。ASPサービスを入口にして、ユーザーさんにIT化による大きなメリットを与えられるように、常に改善していってほしい。電子マニフェストは「紙マニフェストの代わり」ではありません。紙では絶対追いつけないような魅力のあるものでなければいけないと思います。

 

Q.では、電子マニフェストのあるべき姿について、脇田さんはどうお考えですか?

“あるべき姿”というのは特に思いつきません。ニーズに応じて、時代に応じて常に変わっていくものだから。そういう意味でいえば、その時期その時期の“ベストなもの”かな。常に開発し、常にチャレンジし、常に継続的な改善を目指していくべきものだと思います。

電子マニフェストはまだまだ生まれたばかりのものですから、これからもっともっと成長し、もっともっと多くの人に使ってもらうようにならなければいけない。それだけ大きな可能性のあるものだと思いますよ。そのためにも、イーリバースドットコムさんにはASPサービスの絶えざる改善、チャレンジを続けていってもらいたいですね。

■ インタビュー 脇田勝彦氏

text/Ryu Daimon
2006.Aug.23

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