導入事例

前のページ

大成建設株式会社様【1】

大成建設株式会社 (排出事業者)

電子マニフェストの運用にあたり、イーリバースドットコムのWebサービスである「e-reverse.com」の導入を開始した大成建設。すでに全国12支店のうちすでに関東4支店と関西の計5支店で運用が始まり、来年度末までには全支店への試行が予定されているという。e-reverse.comの導入によってどのようなメリットが生まれているのか。またゼネコンとして、電子マニフェストの普及拡大を進めていくことの社会的意義は何か。大成建設(株)安全・環境本部環境マネジメント部の安倍(あんばい)善悦部長にお話を伺った。

安全・環境本部環境マネジメント部 部長(環境担当)安倍善悦様 (2005年4月現在)

 

Webサービスによって生まれた作業の省力化とコストダウン

Q. 電子マニフェストと紙マニフェストによる運用とでは、どのような差が生じていますか?

当社が扱うマニフェストは、年間30万件以上に及びます。紙マニフェストの場合、これらの伝票を回収・照合する手間がかかりますし、伝票の紛失や記入漏れといったトラブルが起こるリスクもあります。さらに5年間の保管が法律で義務づけられていますから、マニフェスト伝票の管理・保管は排出事業者にとって、重要な仕事です。

しかも現場の多くは1年か2年で完成し、あらたに新しい現場が発生しますから、その都度マニフェスト伝票を保管する場所を確保しなければなりません。電子マニフェストの場合、こうした紙の管理がいらなくなるので、それだけでも非常にメリットが大きいですね。

 

Q. コストの面での違いはありますか?

具体的な数値は出していませんが、電子マニフェストの導入がコストダウンにつながっていることは確実です。これまでは 社内の誰かが紙マニフェストの管理をしていたわけですから、その人件費だけを見ても大きな差があります。当然、現場の移動に伴う保管場所の確保などにもコストがかかる。こうしたことが全国の現場で行われているわけですから、それなりの費用がかかります。それが例えば半分になるだけでも、相当なコストの削減になるはずです。

とくにわが社の場合、コンピュータなどのインフラ整備はできていますから、電子マニフェストに変えるからといって、ハードの面で新しい投資をする必要はありませんでしたから。

 

Q. 電子マニフェストの運用にあたっては、直接JWNETにつなぐのではなく、イーリバースドットコムのWebサービスである「e-reverse.com」を利用されています。その理由はどこにありますか?

ひと言で言えば、直接JWNETにつなぐ場合の問題点を、イーリバースドットコムのWebサービスが解決してくれることです。卑近な例を 言えば、JWNETは平日と土曜日の午前8時から午後8時までの間しかデータの登録・参照ができません。実際の現場では、 そうした事務的な作業は夜間になることも多いので、非常に不便なのです。その点「e-reverse.com」なら24時間365日利用 可能です。

また、JWNETを直接利用する場合には、社員が工事事務所のパソコンから入力しなければなりません。「e-reverse.com」ならデータを確認し承認するだけですむ。つまり、現場の社員の作業が非常に効率化されるのです。

昨年10月に東京支店で実施した「電子マニフェスト試行」に関するアンケートでも、ほとんどの現場から「作業所の廃棄物処理業務の省力化になった」という声があがってきました。

 

電子マニフェスト・データを社内システムにそのまま活用でき、廃棄物のリアルタイム管理にも有効

Q. データ管理の面では、「e-reverse.com」にはどのようなメリットがあるとお感じですか?

JWNETを直接運用する場合には、入力したマニフェストデータをそのまま社内管理に使うことはできません。JWNETに登録したデータは大成建設全社の括りになってしまうので、各作業所、あるいは各支店でどれだけ廃棄物を排出したのかといった集計や、ある作業所だけの廃棄物データの参照は現状では不可能なのです。一方、「e-reverse.com」なら、電子マニフェストとして入力したデータがASP上で各作業所、支店別の区分けが出来ているのでそのまま社内のデータ管理にも利用することができます。

排出事業者は各自治体に対して、排出した産業廃棄物を報告する義務があります。その報告のためには各現場で排出された廃棄物を集計しなければなりませんが、「e-reverse.com」を利用していれば、電子データがそのまま使えるのです。

少し詳しくお話しすると、当社では4年程前にE-DAMという環境管理データシステムを構築しました。現場で出た廃棄物のデータをパソコンで入力し、支店ごとの数値を出して、最終的には本社で集計してデータを管理する仕組みです。これまでは現場の社員が廃棄物の種類と数量を入力しなければなりませんでしたが、「e-reverse.com」を導入したことで、集運・処理業者の運転手さんがモバイル機器などを使って入力してきてくれた廃棄物内容をわが社の社員が確認し承認パスワードを入力すればそのデータが「e-reverse.com」経由でそのままE-DAMに取り込めるようになった。つまり、データを入力しなおす必要がなく現在、自治体への報告は書類で提出する形ですが、一部の自治体では、電子マニフェストにつないでデータを電子化していれば、書類提出を省けるようにする試行を行なっています。その方式が全国の自治体に広がっていけば、より効率化が図れることになります。もう一つのメリットは、排出した廃棄物の処理状況が管理できることですね。

 

Q. 不法投棄の防止など、環境対策のうえでも有効ということですね。

そうです。排出事業者としての最大の関心事は、廃棄物の不法投棄です。不法投棄をやられて、それが大成建設の現場から出たものだとなれば、社会的な問題にもなり、わが社にとって非常に大きなリスクになります。「e-reverse.com」の大きなポイントは、マニフェストが適正管理できるということで、どの現場がどんな廃棄物をいつ出したか、それが今現在どう処理されているかが各作業所、支店、本社、もしくは社員の自宅でもリアルタイムに見える。将来的には、収運・処理業者さんの車にGPSを搭載して 追跡調査できるようになれば、とても強力な不法投棄防止対策になるでしょう。

 

Q. 現在の「e-reverse.com」の導入範囲と、今後の予定を教えていただけますか?

現在、全国12支店のうち、関東4支店と関西の計5支店で運用が始まっています。昨年から始まった当社の環境方針に基づく3か年計画で、3年目にあたる来年度末までには全支店での試行をスタートさせる予定です。現況についてお話しすると、一昨年10月に4現場から試行を始め、首都圏で運用中の現場数としては、現在100あまり。首都圏で400から500ほどの現場がありますから、全体の4分の1程度です。しかし、現場で1回でも「e-reverse.com」を使った経験のある社員は、ほとんどが次の現場でも使っているようですから、新しい現場はどんどん「e-reverse.com」になっていくでしょう。そういう自然な形で広がっていけばいいと思います。結局は、現場の人間が使ってみて「いい」と思うものが、間違いなく一番広がるんです。だいたい現場では、どんなものでも最初は「本社がまた余計なもの作って」と言って嫌がるものです(笑い)。本社が強制的にやれと言っても広がりません。「e-reverse.com」については、現場の人が使ってみて、たしかに業務がやりやすくなったから広がっているわけです。

 

「e-reverse.com」の普及拡大が業界全体のレベルアップにつながる

Q. 「e-reverse.com」に対する収運・処理業者の反応はいかがですか?

イーリバースドットコムさんと一緒に試行を検討したときに、私どもが要望したのは「大成建設だけにメリットの出るシステムでは困る」ということでした。収運・処理業者さんにもメリットのある仕組みでなければ、広がりませんから。その意味では、我々建設業者のことも収運・処理業者の状況もよく知ったうえでシステムを構築してくれているので、私どもにも収運・処理業者にも非常に使い勝手がいいものになっていると思います。

立ち上げに当たっては、処理業者大手の(株)タケエイさんにも協力していただき現場で3か月間試行し、その結果をふまえて導入を決めました。

 

Q. 収運・処理業者にとってはどのようなメリットがあるとお考えですか?

やはり紙から電子データに変わることで、管理が非常に楽になることが第一でしょう。とくに処理業者さんは、建設業者以上に紙マニフェストの数が多いでしょうから、助かることは間違いありません。それと「e-reverse.com」と処理業者さんの請求システムを連携することによって、請求業務の効率化に?がることも大きなメリットではないでしょうか。もちろん運転手さんには端末でデータを入力するという負担はかかりますが、これからの時代を考えれば慣れることは必要なことと思います。それがひいては業界全体の効率化につながっていくのだと思います。

このシステムを導入する際に、いくつかの処理業者さんを訪問したのですが、少なくともその社長さんたちは理解してくれました。すでに他の業種ではそうなっているように、これからは収運・処理業者の運転手だって、パソコンや携帯を使ってデータ入力していかないといけない時代だと。業界全体がレベルアップしていくためにも、電子マニフェストに変わっていく必要があることは、ほとんどの収運・処理業者さんも認識していると思います。

 

Q. 電子マニフェストがより普及拡大していくためのポイントは何だとお考えですか?

いかに電子決済につなげていくかでしょう。処理した廃棄物の量や種類がせっかく電子データになっているのですから、それを請求・支払業務に活かせないのではもったいないと思います。どの処理業者さんも自分の会社の請求の仕組みが出来上がっていますから、試行段階でそのやり方を変えるわけにはいかないでしょう。しかし、「e-reverse.com」のような統一システムが広がっていき、「e-reverse.com」と建設業者の支払い管理システムおよび処理業者の請求管理システムが連携すれば、入力したデータがそのまま電子決済に使えるわけですから、相当な業務の効率化につながると思います。

収運・処理業者さんから見れば、すべて現場ごとに内訳を入れて請求書を書いて封書で出さなければいけないので、その手間も経費も大変です。現場の廃棄物処理費用に対する請求・支払いシステムが電子化されることは、建設業者にも、収運・処理業者さんにもお互いにメリットがあることだと思います。廃棄物処理という仕事のイメージアップにもつながるのではないでしょうか。

 

自社のメリットを生むだけでなく、国の政策への貢献にもなる

Q. 「e-reverse.com」が広がれば広がるほど、効果もより大きくなっていくということですね。

そうです。なかには「大成建設さんはゼネコンだからできるんだ」という業者さんもいますが、私はそうではないと思っています。大きい会社だからできる、小さい会社だからできないという話ではありません。大きくても小さくても現場は同じなのですから。今はどんな会社でもパソコンくらいあるでしょうし、一度仕組みを導入してしまえば、別に難しいことは何もありません。このIT化の流れは止まることはないでしょうし、電子マニフェストを国が義務化する可能性もある。いずれ導入するのなら早めに立ち上げたほうがいいし、そのほうが原価低減にもつながるはずです。

 

Q. 最後に、業界が全体として電子マニフェストに取り組んでいく必要性についてお話をお聞かせください。

電子マニフェストの普及拡大は国策でもありますし、業界全体の健全化・レベルアップを図っていくうえでも積極的に進めていかなければなりません。そのために、わが社も業界のリーダーシップをとっていきたいと考えています。

普及拡大を図っていくうえでのポイントは、業界全体で統一したシステムを導入することです。最初に収運・処理業者さんを回ったときにも「建設業者ごとに方式が違うのでは困る」と盛んに言われましたが、こうした取り組みは業界として統一した方法でなければ広がりません。幸い、建設9団体による電子マニフェストワーキンググループの検討会でも、「e-reverse.com」の方式が候補に上がっているという話も聞きます。当社としては初期投資もしてきましたが、業界としていい仕組みを作り、それをみなさんに提供することには大きな意義があると認識しています。

 

■ インタビュー 安倍善悦氏

text/Ryu Daimon
photos/Mitsuru Hirokawa
2005.Apr.27

最新の導入事例

株式会社安藤・間様

2019年10月15日更新

大成建設株式会社様

2019年10月15日更新

飛島建設株式会社様

2019年10月15日更新

戸田建設株式会社様

2019年8月27日更新

検索中